【読書メモ】体は全部知っている
最近、自分の中でちょっとしたブームになっているよしもとばななの短編集。
- 作者: 吉本ばなな
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2002/12
- メディア: 文庫
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この本もそのうちの一つ。
元気なときに読んでもいいだろうけど、少し疲れたなと感じるときにオススメの本です。
印象に残った短編は、3つあります。
一つ目は「ボート」。幼い頃に、母親と離れた主人公の記憶をたどる話。
主人公を置いて、新しい恋人と外国に行く母親が言ったセリフ。
「決してママを忘れないで。でも、消して過去を振り向かないで。」
二つ目は「ミイラ」
ミイラは死んだ人や動物をいつまでも残しておきたいと思うから作るのだろうけれど、登場人物の彼のように、もしかしたら古代エジプトを始めミイラの作り手は自分が殺したのと同じ罪の重さを感じながらその作業をしたのかもしれないと、ぼんやり思いました。遺跡として残っているミイラの場合は、実際、その作業をする人と、残しておきたいと願った人は違うんだろうけど。いつまでも残しておきたいと願う気持ちは執念だね。
三つ目は「いいかげん」
この短編集に収録されている短編はどれも、どこかせつない。でも最後の最後にこの一文があることで、なんとなく気持ちが軽くなるような気がしました。
「深く考えるととても面倒くさいので、私はもう考えないことにした。神様に気持ちをあずけてしまったんだからあとはまかせよう、なるようになるだろう」
たまにはジェットコースターのようなフィクションや、起承転結のある文章でないものもよいですね。