実家を出ると、親と過ごす時間は思ったより短い
母が亡くなった。
母54歳、わたしは28歳。孫の顔を見せてあげられることなく行ってしまった。
何年も病気だったので、そんな日が遠からず来るだろうとは思っていた。
ここ二ヶ月は会うたびに少しずつできないことが増えていって、会うのも正直つらい状況だった。
病院に着いたときには、間に合わなかった。
もっと一緒に時間を過ごせばよかった。
もっときれいな景色を見せてあげたかった。
もっとおいしいものを食べさせてあげたかった。
その日は、仕事を休んででも一緒にいればよかった。
わたしはよい娘だった?
取り返しがつかなくなってから、いろんなことが悔やまれる。
でも、意外なことにそれほどの喪失感は感じていないんだ。
それは多分、何年も前から、そう遠くない死を意識して、後悔しないよう母に接してきたからだと思う。
もしかしたら、これからじわじわ来るのかもしれないけど。
最近になって知った、これまで知らなかった母の顔。
母は4月いっぱいで退職していたのだけど、職場の同僚がまだ動けるうちに何度か食事に誘ってくれたり、入院してからも頻繁に訪ねて来てくれていた。
訃報を知らせたらわざわざ電話をしてきて、母を慕っていた人が何人かいてみんなで焼香をあげたいって言ってきてくれた。
母には、退職しても尻切れとんぼになることなく、何度も見舞いに来てくれるような人がいた。
そんな母を持ったことを誇りに思う。
普通の人は長い目で見ると、実家での生活時間より親元を離れてからの生活の方が長い。
長い時間の中、いつでも会えるような気がしている。
でも、年に何回かしか会わないことを考えると思っている以上に一緒に過ごせる時間は短い。
自分自身が新しく家庭を持っていたりすると、そのことを気にしている余裕はなくなる。
もっと先のことだと思っていた、とならないように家族との付き合い方を考えてみるといいかも♪