OkOgeのブログ

地方で楽しく生活することをテーマに日々あったことをつづります。

「おもひでぽろぽろ」を大人になってから見る魅力

先週の金曜ロードショーで「おもひでぽろぽろ」がやっていた。

初めは見るつもりはなかったのに一度見始めると結局最後まで見てしまった。

わたしはジブリの作品の中でもこの作品が好き。
天空の城ラピュタとか、トトロとかジブリらしい作品は他にもあるのに小さい時初めて見たときから、この作品の独特な雰囲気が忘れられなかった。


今回見て印象的だったのは、27才になった主人公の山形滞在中のシーン。
迎えに来てくれたトシオとの車中での会話。

タエコ:農業は今も大変なんでしょう。減反とか自由化とか
トシオ:ああ もう大変大変。こんなごどしでだら 日本の農業は滅びてしまうんじゃないがな。ある日突然 バッタリとね フフ。でもね 大変大変っていうけど、一生懸命やってる仕事なら大変でない仕事なんてないでしょう?都会の仕事だってそれは    同じじゃないですか?
タエコ:ええ…。でも仕事が生き甲斐っていう人は、だんだん減ってるみたい
トシオ:タエ子さんはどうなんですか
タエコ:えっ 私?
トシオ:うん
タエコ:私もちがうと思う…仕事 イヤじゃないですけどね
トシオ:オレはね、一生懸命やれそうなんです 農業。面白いですよ。生ぎものを育てるっていうのは。


あと、最後の方のシーン。

農家の嫁になる。
思ってもみないことだった。
そういう生き方が、私にもありうるのだというだけで、不思議な感動があった。
“あたしでよかったら…”
いつか見た映画のように、素直にそう言えたらどんなにいいだろう。でも言えなかった。
自分の浮ついた田舎好きや真似事の農作業がいっぺんに後ろめたいものになった。
厳しい冬も農業の現実も知らずに“いいところですね”を連発した。自分が恥ずかしかった。
私には何の覚悟もできていない。それをみんなにみすかされていた。いたたまれなかった。

今回見ていてトシオは勤め人をやめて農家になった人なんだってことが分かった。

今までそこは気になるポイントではなかったみたい^^;

映画の制作は80年代後半だと思うけど、当時でも勤め人の若者が農業に転向することもあったんだなぁって。

今でこそ転職する人も珍しくないけど、80年代後半のバブル真っ直中だった当時、トシオが言っているように一度就職したところをやめるなんて!という考え方が強かったに違いない。

作品中の主人公のタエコの設定は、社会人になって何年か経つ今の自分と同じ年代。

世間的に見れば「ちゃんとした勤め先」に属してはいても別にそれに「生き甲斐」と言えるほどの情熱も持つことができない。
だから、「一生懸命やれそうなんです。農業。面白いですよ。生き物を育てるっていうのは」というトシオがうらやましいなと思った。タエコもせりふはないけど、多分トシオをまぶしく感じただろうな。

二つ目の引用シーンは、その後の「お前とは握手してやんねぇよ」のエピソードにつながることがよく分かった。

わたし自身も年に何回か小豆島の農作業を手伝いに行くことがあって、いつか田舎に移住したいと思ってる。
やっぱり、一つ目の引用でトシオが言っていたように生き物を相手にする仕事というのは、おもしろいしやりがいを感じられると思う。

くらしと仕事が密接につながっているので、真剣にならざるを得ない。

その一方、二つ目のタエコの独白のようにわたしは楽しいところしか見ていないんだろうとも思う。

ただ30年近く前と今とでは、田舎の状況もかなり変わっているはず。
今のわたしの生活も、都会の便利さを存分に楽しむ生活とは離れていると思うから。

インターネットの普及で情報の伝達差は少なくなっている。田舎にいても情報の早い人はいるし、都会にいてもすこぶる情報感度の低い人はいる。

携帯がつながらなかったり、天候がダイレクトに物資の供給に影響するような場所でない限り、生活はできると思う。
医療とか人付き合いの面倒くささはあるだろうけど。

昔より働き方が多様になったおかげで田舎だからといって必ず農業をするわけでもない。

大人になってから「おもひでぽろぽろ」を見ると、子供の頃とは違う部分が心にひっかかるんだなと思った。

ジブリの魅力を再発見♪